特別なものを装飾する

大好きなアイドルのポスターを壁に貼る時に皆さんは額縁を購入しますか?日本のドラマなどに登場する主人公の部屋に、主人公が愛してやまないアイドルがドラマの中でクローズアップされるとき、壁や天井に貼ってあるポスターは、セロハンテープや画びょうを使って壁に固定されているイメージがあります。

日本人はポスターを壁に貼る際に、セロハンテープや画びょうなどをポスターに直接使用することが多いと思われます。しかし海外の人々の暮らしの中では、ポスターをフレームに入れて飾る姿を目にすることがあります。 洋画ロードショーなどで登場する主人公の自宅の内装やインテリアをじっくり観察してみても、その様子が伺えます。

この違いは、日本人独特の感覚を表しているのでしょうか。そもそも「額縁」自体が、生活空間の中でインテリアの一部となるような感覚が、日本人にはお馴染みではないとも考えられます。

現代の日本においても、絵画や写真を収める当たり前の製品ではりますが、それは自宅などの生活空間でにおいてではなく、美術館やギャラリー展などの特別な場所において、特別なものを装飾するものであるという感覚なのかもしれませんね。

思い出の写真をしまう場所

友人の誕生日にフォトフレームをプレゼントしようと思い立ったのですが、最近はデジタルデータで写真を保存してしまうため、雑貨屋さんなどから、お気に入りの写真やポストカードなどを気軽に飾ることのできるフォトフレームの姿が消えはじめているようです。

お気に入りの雑貨屋さんまで足を延ばしましたが、私の想い描いていたようなものをみつけることが出来ませんでした。

時代の移り変わりは早いもので、カメラのフィルムに画像を落とし込む時代は、すでに過ぎ去ってしまったのですね。デジタルデータであれば、収納にかさばることもなく、処分する時に後ろめたさもなく、写真が気に入らなければ自分の好きなように加工してしまえば良いのです。

なんだか味のない世の中であると言ってしまいたくなるほど、世の中からフォトフレームの姿が消えはじめているようです。

学生時代は、旅先でみつけたお気に入りのポストカードをフレームに入れ、旅先での旅情を思い返しながら部屋に飾り付けたものでした。

現在、観光地では、皆がスマートフォンを片手に画像や動画を撮影したものを友人同士でシェアをしたり世界の人々に向かってSNSなどに投稿しているようです。

フォトフレームの役割さえも担ってしまうスマートフォンは、便利なアイテムであることは確かなことではありますが、皆さんの思い出を閉じ込める場所としては少しばかり味気ないのではないでしょうか。

透明なフレーム

眼鏡のフレームが必要ないようにフレームレスな額縁が最近の若者たちに喜ばれているようです。

透明なアクリル製のフォトフレームは、写真を飾るにしても額縁独特の存在感を醸し出すこともなく部屋全体のインテリアに違和感なく馴染んでしまう感覚があります。

住まいのインテリアと、メインの絵画や写真などの作品のどちらのイメージにもなじむものを選ばなくてはならないところに難しさを感じます。

どちらかに偏ったデザインを選んでしまい、お部屋の空間を台無しにしてしまった経験はありませんか。

それはまるでパーティードレス選びにも似ています。

パーティーでのPTOを無視して自分よがりなセンスでドレスを選んでしまうと、その場の空気を台無しにしてしまう事もあるはずです。

額縁はその場の空気を読むように居心地の良い空気を生み出すものを選び出さなくてはなりません。

フレームレスなクリアなものが若い世代に人気である理由が、なんとなく私自身にも理解できるような気がしております。